スポンサーサイト

--.--.-- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

衛士祭 ボツ案その1

2011.05.07 (Sat)
衛士祭、ボツ案その1。
ヴァイル祭の時と一緒で、楽しい話を書くのは私には難しすぎた。
でもちゅっちゅさせたかったんだ。なんとかしてちゅっちゅさせたかったんだ!! 
でも、できなかったんだ!!

例によって、勢いだけで書いてます。
それでもよろしければどうぞ↓


その1「風邪」


「グレちゃん、暇ならちょっと付き合ってよ。今日非番でしょ?」

「駄目。これからレハト様のお見舞いに行くから」

 レハト様が先日から寝込んでいた。ただの風邪らしいのだが、なかなか熱が下がらないらしい。

「ああ、風邪だっけ? そうだね、グレちゃんが行けば寵愛者様の治りも早まるだろうね」

「そ、そんな。俺の顔を見て、レハト様が元気になるだなんて。や、やっぱりそうかな。俺ってそんなに愛されてるかな」

 ハイラにしては、珍しく嬉しいことを言ってくれる。
 そうだよな。自分がレハト様の姿を見ると気力が沸いてくるように、レハト様もそうなってくれると嬉しいな。
 しかし、次の瞬間。ひんやりとした冷たい口調で言葉をぶつけられる。

「何言ってんの。そうじゃなくて」

 そう言ってから、ハイラが唇をちょいちょいと指さす仕草を見せた。でもその動作を見ても、ハイラが何を言おうとしているのか、さっぱりわからない。

「ほんとにもう……。相変わらずニブいなあ、グレちゃんは。風邪ってさ、人に伝染すと治りが早くなるって言うでしょ」

「……うん」

「どうやったら手っ取り早く風邪が伝染るでしょう? はい、グレちゃん。答えが言えるかな~?」

 しばし考えを巡らせ、ようやくハイラが言おうとしていることに気がついた。
 そ、それは。ももももももしかして……。

「そっ、そんな! そんなことレハト様に……っ!! できるわけが……っ!!」

「篭りを明けたばかりの寵愛者様よりも、体鍛えてるグレちゃんのほうが治りも早いと思うんだけど。柔らかい唇の感触を味わえて、グレちゃんはウッハウハ。寵愛者様も風邪がすぐ治る。良いこと尽くめでしょうが」

「そ、そうかもしれないけど……」

 いや、例えそうだとしても!!
 駄目だ、駄目だ。そういうことは、きちんとした場所で、きちんとした順序を踏まえてやらないと。
 そんな、病気につけこんで卑怯な真似をするなんて……。

「変なスケベ心からじゃなくて、本当に寵愛者様のためなんです!って押しきっちゃいなよ。そうでもしないと、グレちゃん、一生そんなことできそうもないしさ。ほら、頑張ってね」


  ◇  ◇  ◇


 寝台に横になっているレハト様は、思ったよりも元気そうだった。でも、こうして当たり障りない会話していても、その口からたまに咳が飛び出て苦しそうにしている。
 その様子を見て、ハイラに言われた言葉が頭を駆け巡った。
 そう。そうなんだ。邪な思いからでは決してないんだ。
 レハト様の風邪を早く治すため。レハト様の風邪を早く治すため。レハト様の……。
 繰り返し心の中で呟き、意を決して口を開く。

「れ、レハト様……」

「なあに?」

「ひ、ひひひっひひっひひひ……」

「……?」

 落ち着け、落ち着け。さらりと、さりげなく話題に出すんだ。
 レハト様の風邪を早く治すため。レハト様の……。

「ひ、人に伝染すと、かかか風邪が早く治るという話は、ご存じでいらっしゃわれておられますか?」

 しかし出てきた言葉は、全然さりげなさとは程遠いおかしなものだった。

「……なんか言葉が変だよ? グレオニー」

「ご、ご存じですか? ご存じじゃないんですかっ!?」 

 興奮し過ぎて、ついつい声が大きくなってしまった。
 でも、自分の不審な言動に訝るわけでもなく、レハト様はこちらを見つめてきょとんとしている。やがて、ぱあっとその表情が明るいものになり、無邪気な笑顔を浮かべた。

「そっか! なるほどね! 伝染せばいいんだ!」  

「そ、そうなんです。伝染せば……」

 にこにことしているレハト様を見て、動機が激しくなる。
 す、すごい好反応だ。これは、案外すんなりと事が上手くいくのでは。あんなにもドキドキしていた自分が馬鹿みたいだ。レハト様にとっては何でもないことで、自分が重く考えすぎだったのか。そうとも。よく考えれば、たかが唇と唇がくっつくだけのことじゃないか。
 それでも自分としては、初めての時は、もっとシチュエーションや場所を考慮したかったのだが。
 湖のほとりとか。人気のない中庭とか。 
 レハト様の肩を抱いて、じっと目を見つめて。ゆっくりとこう、顔を傾けて……。

「誰がいいかなあ……」

 いろいろと妄想を繰り広げていたが、そんな言葉が耳に届いて思考が止まる。
 あ、あれ? レハト様?
 誰がいいかな? どういう意味ですか? それは。 
 
「あっ、そうだ。グレオニー、この間、衛士頭さんにこっぴどく怒鳴られてたよね。ひっどいよねー、あれ。叱るにしても言い方ってもんがあるよね! あれじゃただのイジメだよね! 前々からあの人評判良くないし、衛士頭さんにしようか? あの人の目の前で、くしゃみを連発すればきっと伝染るよね? ああ、モゼーラもなんか腹が立つ上司が居るって言ってたなあ。あ、ハイラ? ハイラにもギャフンと言わせたいよね! いっつもなんかすかしてる感じのハイラを……」

 一人で次々と言葉を並べ立てているレハト様を、ただ黙って見つめる。
 ……そうだよな。そう簡単に上手くいくはずがないよな。

 がっくりと肩を落として項垂れる。
 そして、「治るまで部屋から出ちゃ駄目ですよ」という言葉を残し、俺は寝室を後にした。 




私の中のレハト様は、グレオニーに負けず劣らず鈍感だという感じがします。
そして変な方向へと暴走しがちです。頑張れ、グレオニー……。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。