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衛士祭 ボツ案その2

2011.05.08 (Sun)
衛士祭、ボツ案その2。
グレオニーって、すぐ城から出て行っちゃいますよね。
一体、何を考えて城を後にしたんだろう。途中、振り返って城を見上げたりしたんだろうか。誰かに見送られたりしたんだろうか。それとも、一人でそっと出て行ったんだろうか。
とか想像していたら何故かこうなった。どうしてこうなった。

同じように勢いのみで書いてます。
それでもよろしければどうぞ↓


その2「決意」


 空を見上げると、雲ひとつない青空が広がっていた。雨が降る様子は全くない。
 大事な日には雨が。そう思い込んでいたが、やっぱりただの思い過ごしだったのだろうか。単に、偶然が何度も重なっていただけだったのだろうか。こうして固い決断を胸に行動を起こそうとしているのに、自分はアネキウスの恵みを得られなかった。

「本当に行くのか」

 正門から出てきたフェルツが、睨むような、憐れむような顔をして問うてくる。
 今日という日が来るまで、何度も何度も聞かれていた。でも自分の答えもいつもと同じだ。

「ああ。もう決めたから」

「……前もって少しは相談してくれりゃいいものを」

 舌打ちして、フェルツが顔を背ける。

「水臭いよ。全部自分ひとりで抱え込んで……」

「そう言うなって。いいんだ。これでいいって、本当に心からそう思ってるから……」

 二人で、城の前の長い長い橋を静かに渡る。
 この城に来た時のことを思い出した。黒く、不気味な存在だった大きな塊。でも自分はここに来てよかった。衛士になれてよかったと思えるような生活を送ることができた。
 後悔なんかしていない。これで、よかったんだ。

「後のことは任せておけ。お前が居なくても、その穴を埋めるぐらい二人分の働きをしてやるから」

 そう言って、フェルツが軽く肩を叩いてくる。涙を堪えているのか、その目が少し赤くなっていた。
 こいつのこんな顔を見るのは初めてだ。こんなにも自分は、この友人に思われていたのか。少し胸が熱くなって、貰い泣きしてしまいそうになる。それを誤魔化すように、顔を伏せて言葉を口にした。

「……ありがとう」

「無理だけはするなよ。お前、ほんとに思い込んだら一直線だから心配だ」

 言葉と共に、肩を掴んでいる手に若干力が込められる。友人の温もりを惜しみつつ、やんわりとその手を離した。

 橋が途切れ、フェルツが軽く手を振って自分を見送る。
 振り向いちゃいけない。決心が鈍ってしまう。
 せめて背中だけでも、頼もしそうなところを友人の目に焼き付けさせておかないと。
 歩を進めながら、何度も自分にそう言い聞かせていた。


  ◇  ◇  ◇ 


「はーいっ!! お待たせしましたっ!! 今日は、特に腕によりをかけましたよー!!」

 満面の笑みでそう言ったレハト様は、この細腕でどうやって運んできたのか、と思うくらいに、とんでもなく大きい弁当箱を差し出してきた。
 思わず笑顔が引きつってしまう。
 駄目だ。もっと自然に笑わないと。
 せっかく自分のために、こんな大量にお弁当を作ってきてくれたんだ。久しぶりに二人きりでピクニックだ、と何日も前から嬉しそうにしていたレハト様。悲しませちゃいけない。楽しかった、と思ってもらえるように、最後まで任務を遂行しなければ。

「う、うわあ……。大きい、お弁当、ですねえ……」

 箱から奇怪な匂いが漂ってくる。
 鼻で呼吸しないようにしていたため、不自然に言葉が途切れ途切れになってしまった。 
 ……中に入っているのは、本当に食べ物なんだよな? だってこれは、お弁当箱なんだから。
 気のせいか、匂いにどす黒い色が付いているような幻覚すら見えてくる。フタを明けたら、奇妙な色の煙がもくもくと出てくるんじゃないだろうか。

「あれもこれも、って思ったら大きくなっちゃって。グレオニー、体大きいからいっぱい食べるかなあ、と思ったし!」

「そ、そんなことないですよ。こう見えても自分は少食なほうで……」

 しまった。つい嘘をついてしまった。
 でもそんな言葉でめげるレハト様ではないことは、自分がいちばんよく知っている。

「駄目だよー。育ち盛りなんだからたくさん食べなきゃ!」

「た、たくさん。そうですね。たくさん……」

 医士は準備万端で待機してるから。頼むから、自力で城に帰ってくることだけを考えて行動してくれ。そうすれば、後はなんとでもなるから。
 深刻な顔をして、そう言っていたフェルツの顔を思い出した。
 大丈夫。俺も男だ。愛する人の作ったご飯ぐらい食べれなくてどうするんだ。

「ではっ!! 今日、朝早くから作ったお弁当。さあ、とくとご覧あれ!!」

 フタに、レハト様の手がかけられる。
 無意識に息を止めてしまっている自分が、そこにいた。




1に引き続き、私の中のレハトはどうしても料理上手ではない人になってしまいます。
タナッセルートでもそうですね。
でも作るの大好き。何故なら愛する人に喜んで欲しいから!! 愛に溢れている料理を、毎日毎日満面の笑みで作り続けるレハト様。調理場、大変なことになってるんだろうな……。ていうか、奇怪なもの作り上げる前に、料理人さんアドバイスとかしてあげろよ、というツッコミは受け付けません。

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