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贖罪<3>

2014.05.28 (Wed)
タナッセ、その後のお話。

そういうつもりで書いてはいませんが、読む人によっては「アッー」な話に見えるかもしれません。同性愛が極端に駄目な方はご注意を。
いつものように胸糞展開です。タナッセ苦難の連続。酷い目に遭いまくりで可哀想な殿下を見たくない!という方もご注意ください。



贖罪<3>


 この村は、決して裕福なほうではない。何かここでしか採れない特産物があるわけでもなく、珍しい物を作り出せる技術があるわけでもない。大人たちは日々、生活を維持するための仕事に追われ、時には子どもたちもそれを手伝ったりしている。それが日常であり、なんら疑問を抱く者もいない。
 そんな忙しい中でも時間を見つけ、村人たちは私のところへやってくる。
 文字の書き方を習いに。読み方を学びに。
 毎日毎日通えるほど余裕のある者は片手で数えるくらいの人数だ。なので、私も目の回る忙しさとはおよそ程遠い日々を過ごしており、身体があいた時は村長の仕事に手を貸すのが常となっていた。
 
 今日も、モルは村人の一人に手を引かれ、畑の土起こしを手伝っている。私もたまには肉体労働を、と試みたこともあったが、足手まといにしかならずに村人たちの苦笑を買うだけだった。

「無理しなくていいよ。先生には、先生にしかできないことがあるんだから」
 
「せんせー。今日、行けそうにないや。でも僕、この間教えてもらったこと、ちゃんと復習してるよ!」

「収穫した野菜、後でモルさんに持たせるから。なあに、遠慮するなって。いつも世話になってるお礼だよ」

 よそ者である私たちを、この村の人たちは本当に温かく受け入れてくれた。田舎は閉鎖的で卑屈者の集まりだ、という固定観念を持っていた自分が恥ずかしくなる。
 だが、もし。実は私が貴族である身分だと露見してしまったら。皮肉屋でひねくれた言葉ばかりを吐き出し、城の皆に陰口を叩かれていた元殿下だったという過去を知られてしまったら。ここの者たちは手のひらを返したように、私にも辛く当たるようになってしまうのだろうか。
 そんな恐怖が常に付き纏っていた。我が身可愛さに隠し事をしている、という罪悪感が、たまに揺り返しのように襲ってきた。

 大丈夫だ。
 大丈夫だ。
 知られるわけがない。
 毎日、頭の中で言葉を繰り返す。
  
 私にできることは、精一杯この村のために尽力する。それだけだ。例え微力でも、誠心誠意尽くして自分のすべきことを成すだけ。余計なことを考えるな。考えるな。

 溜め息を吐いて、自室の椅子から立ち上がる。粗末な本棚に並べられている数冊の本に視線を移した。それは、村の人が遠出をした時に、私にと買ってきてくれたお土産の数々だった。 
 棚のいちばん端に置かれている本を手に取り、表紙に綴られている文字をゆっくりと指でなぞる。

『ディレマトイ著』

 表紙の端には、見慣れた名前が記載されていた。


  ◇  ◇  ◇


「どれがいいのかわかんなかったから、適当に選んじゃったけど」

「いえ、有難いです。しばらく本に触れていなかったので」

「なんかねえ、今話題の有名な人の本なんだってよ。これが手に入るなんて、あんた運がいいですよって言われて買ってみたんだけど。俺ももっと文字が読めるようになったら貸してくれよな、先生」

 本を受け取り、著者に気付いて少しだけ鼓動が跳ね上がった。
 これは私の本ではないか。無論、村人は何も知らずに購入したのだろうが。

 妙な名前を付けた師に対して苦笑を漏らした過去が頭に甦る。
 自分の書いた詩が、初めて一冊の本という形になった時の感動は忘れられない。中身を全て暗唱できるくらい知り尽くしているというのに、何度も何度も繰り返し読んでは、口の端が上がってしまうのを抑えられなかった。
 自分の本に目を通すのも久しぶりだなと、懐かしさが込み上げてくる。そして、何気なく題名が表記されている部分へと視線を移した。
 途端に、先ほどとは比べ物にならないくらいに、心臓が音を立てて胸を打ち始める。

 私は、こんなものを書いた覚えはない。
 こんな題名の本を出した記憶は無い。

 始めは見間違いかと思った。似たような名前の著者が他にもいるのでは。いや、あり得ないとは思うが写本の際に手違いがあったのではないか。
 そして、中の内容に目を走らせ、読み進めるごとに唇を噛み締める力が強くなった。

 なんなのだ、これは。覚えの無い文字の綴りが紙を埋め尽くしている。それも、絶対に自分が使わないような陳腐な表現ばかりを並べ立て、作品の質を地の底にまで貶めている。
 怒りで、体中の血が逆流する。本を持つ手の震えが止まらず、息をするのさえ苦しくなってきた。
 
 どこかの誰かが、名を偽って出版した。
 ディレマトイという名を勝手に使って、こんなおぞましい本を作り上げた。

 本を跡形もなく燃やしてしまいたい衝動に駆られる。だが次の瞬間、私のために手に入れてきてくれた村人が頭に浮かび、なんとか冷静さを取り戻した。
 ……まさか、ヤニエ師が関わっているのか? 
 有り得ない。あの人が私に無断でこんなことをする理由が何一つ思い浮かばない。誰かが名を偽ってヤニエ師に作品を送りつけたとしても、師ならば私が書いたものではないとすぐにわかるはずだ。そして、彼女自身の作品ではないということも、内容の酷さがそれを物語っている。
 ヤニエ師を通さずに本を出したのか。そんなことが可能かどうかわからない。しかし実際に、こうして本が出ているのだ。ディレマトイの新作、という話題性を利用した金目当ての不当な行為。この本からはそういった悪意しか感じられない。

「なんかねえ。回収騒ぎになったとかで。すごい手に入りにくい本らしいよ。でも、どこからともなく、また出回るんだって。不思議だねえ」

 購入した時の話を詳しく聞き出すと、村人は少し自慢げにそう答えた。珍しい本を見つけ出した、という自負からか、村人は誇らしげな笑みを浮かべている。どうやら、何も知らないで少し怪しげな店に足を踏み入れたようだ。きちんと城の許可を得ている店に、そんな本が置いているはずがない。

 その回収とやらも、ヤニエ師が手を回してくれたのだろうか。だが、既に出版された本全てを処分するのは不可能に近いだろう。手に入れた全員が名乗り出るとは限らないのだし、しかも稀少本という噂が立てば、惜しくなって手元に置いておきたくなる輩もいるはずだ。
 そういう者達にとっては、偽物の作かどうかの真偽は些細なことなのかもしれない。
 内容云々ではなく、話題の、それも手に入りにくい本。それだけで本の価値が決まってしまう。

 中身がどうでもよいのならば、今まで私が書いてきたものは何だったのだろう。
 ひとつひとつの言葉に頭を抱えた苦悩も、満足がいくものが出来た時の喜びも、全てが急に虚しいものに感じた。 

 どうしたらよいのか。何か手は無いのか、と思案する。
 世にディレマトイの正体が明かされていない以上、偽物を偽物と証明することもできない。
 だからと言って、私自身が今さら名乗り出るのもごめんだ。
 師に助けを求めたらどうにかなるかもしれないが、今の自分の居場所を知られたくなかった。自分の過去を知っている人間とは、モル以外、もう誰とも関わりたくなかった。

 何も名案が浮かばず時間だけが過ぎて行く。
 呆けたように地面に座り込み、次第に自暴自棄な気持ちが勝ってきた。

 全てから逃げ出した私に、偽物を咎める権利などない。
 ディレマトイだろうが何だろうが、勝手に好きなものを書けばいい。私には関係がない。
 
 悪意に満ち溢れた本を見つめ続け、込み上げる吐き気に抗うことしか私にはできなかった。


  ◇  ◇  ◇


 こうして本を手に取るたびに、あの時の気持ちが甦ってくる。せめて目につかないところに置けばいいものを、どうしてかそれもできないでいた。

 関係が無いと突き放したくせに、未練がましくたまに目を通しては、
「私が書くとしたら、ここは……」
「この表題ならば……」
と、考えてしまう。自虐行為にも程がある。

 この本が出回った時、ヤニエ師は私に文鳥を飛ばしたかもしれないな、とふと思った。私が城に居ないどころか、居場所すら誰にも掴めないと知ってどう思っただろう。
 母上やヴァイル、ユリリエもこの本を見たのだろうか。私の作ではないと気付いてくれただろうか。

 懐かしい面々を頭に思い浮かべ、すぐにそれを振り払うように本を閉じる。自分の諦めの悪さに冷笑を漏らした。
 どう思われようと構わないではないか。私はこの村の「先生」であり、「タナッセ」や、本物の「ディレマトイ」はもうどこにも居ないのだ。

「先生、モルさんが戻ってきたからご飯にしよう」
 
 扉を叩く音で我に返る。忌わしい本を手にしたまま、つい物思いに耽ってしまった。

「すぐ行く」

 孫娘に返事をして、本を戻そうと棚へと足を向けた。途中、床に置いてある物入れの箱が視界に入って逡巡する。
 蓋に手を伸ばしかけるも、私の手は見えない糸に引かれるように、元通りの棚へと本を置いた。


  ◇  ◇  ◇


 医者の冷たい指が私の手首に触れる。今日はそんなに外が冷え込んでいるのかとぼんやりした頭で思った。
 いや、指が冷たいわけではない。私の体の方が平熱を遥かに超えているのだ。
 汗で纏わりつく服が気持ち悪い。ひたすら喉が乾く。
 毎日使っている寝台なのに、まるで石の上に寝かせられているように固く感じ、背中が痛くてたまらないというのに、私は寝返りを打つことさえできないでいた。熱を出して寝込むことは初めてではなかったが、ここまで酷い症状に見舞われた経験はなかった。

「先生。何か、よくない、病気なんですか?」
 
 荒い息の合い間に、やっとのことで声を出す。重りを乗せられているような倦怠感が全身を襲い、指先を動かすことすら億劫だった。 
 私の問いかけに、診察を終えた医者はなかなか返事をしなかった。声の代わりに、その口からは溜め息しか出てこない。言い淀むほどに深刻な状態なのか、と少し血の気が引いた。

「……まさか、不治の病、とか?」

「いやいや。決してそういう訳では。症状も発熱だけだし、発疹が出ているわけでもない。ただ熱が高すぎるのが、少し気になる」

「解熱剤はもう飲んだんでしょう? 効かないの?」

 同じように、傍らに付き添っていた孫娘が医者に問うた。
 先ほどから水で湿らせた布で私の顔の汗を拭ってくれている。
 
 体調がおかしいと気付いた時は、こんなに酷くはなかったのに。
 夜も更け、寝る前に少しだけ書類に目を通しておくか、と机に向かおうとした時に、眩暈と僅かな頭痛を感じた。すぐに治まったので気にもせずに書類を手に取っていたのだが、何故だか文字がなかなか頭に入ってこない。このけだるさは以前にも経験したことがある。熱が上がる前の前兆だ。
 今日は大人しく寝たほうがいいと思い直し、書類を箱に戻す。すると急に視界がぐらりと揺れ、訳がわからない浮遊感に襲われた。モルに抱え上げられたのだ、と気付いた時には、既に私の体は寝台に沈んでいた。
 大きな手が私の額に触れる。いつもは無表情な元護衛の顔が、僅かに歪んだ。巨体が素早い動きで踵を返し、扉へと向かおうとする。

「大丈夫だ。寝ていれば治る」

 村長か孫娘を呼ぼうとしたモルを制止する。モルの足が止まり、明らかに納得していない顔をこちらに向けてくる。

「大したことはない。余計な気を遣うな。あの二人も、こんな夜更けに、迷惑……」

 弱々しい声では説得力も無く、再びモルは足を踏み出す。そこからの記憶がしばらくない。
 気がつけば、医者と村長、そして孫娘、モルが寝台の側に居た。
  
「熱が高すぎて、薬が効かないみたいだね。うーん……。ちょっと心配だなあ。もちろん今すぐに命の危険が、というわけではないけど、長く続くと厄介なことになるやもしれん」

 医者が腕を組んで、眉間に皺を寄せる。すぐに孫娘が詰め寄るように声を発した。

「他の解熱剤はないんですか?」

「私の腕では、さっき与えた薬で精一杯だよ。人や物が行き交う賑やかな土地ならまだしも、こんな僻地では材料も碌に手に入らないし」

「そんな……」

「大丈夫だ。明日になれば、下がるかもしれない。情けない顔をするな」

 今にも涙をこぼしそうな孫娘に、何の根拠もない言葉をかけた。次の瞬間、水を絞らずにびっしょり濡れた布が私の顔に飛んでくる。何をしとるんだ、と諌める村長の怒声を遮り、孫娘が私に金きり声をぶつけてきた。

「一晩中、あんなところでぼさーっとしてるからよ!! 持って来てやった上着も拒むし、風邪ひくから早めに帰れって言っても聞かないし!! 先生ってば、さいきん変!! すっごく変!! しょっちゅうぼんやりして、かと思えば、昨日みたく何にもないところで、ずーっと一人で考えごとして!! どこで何をしようが先生の勝手ですけどね、医者先生だってあたしだって暇じゃないんだから、余計な仕事増やさないでよ!!」

 言い終わると、わざとらしく盛大な足音をたてて孫娘は家から出ていった。村長がひたすら謝罪を繰り返し、医者が苦笑を漏らす。
 ひとまず、少し様子を見ようということで、先ほど服用した同じ薬を置いて医者は場を後にした。

「何かあったら、いつでも声をかけてください。老人の眠りは浅いんですから。気遣いは無用ですよ」

という声を残して、村長も自宅へと戻る。
 残されたモルはというと、孫娘の言葉に共感しているのか、いつにも増して迫力のある雰囲気を放って私を見下ろしていた。

「……わかった。悪かった。明らかに、己の体力を過信していた。これからは気を付ける」

 それでもまだ気が済まないのか、モルは鋭い眼光を弱めようとしない。
 続けて謝罪を口にしたかったのだが、襲い来る睡魔には勝てず、言葉にならない声を漏らしつつ私は眠りに落ちた。


  ◇  ◇  ◇


 薄暗い場所を一人で歩いていた。見覚えのある風景のような、初めて来る場所のような。よくわからないままに歩を進める。
 遥か彼方に、人影が現れた。遠すぎて誰なのかは判別できない。
 少し早足で人陰に近付いた。影がゆっくりと振り向いてこちらに顔を向ける。何故かはわからないが、それ以上近付くのを躊躇してしまった。足を止め、誰ともわからない影と向かい合う。辺りの暗さのせいで、やはり顔は見えないままだったが、額からは淡い光が漏れていた。
 
 あの光の持ち主を、私は知っている。
 光を持ち主の全員を、私は知っている。
 
「ヴァイル……?」

 呼びかけても、人影は微動だにしなかった。

「母上……?」

 人影の手が、ゆっくりと何かを持ち上げる。かと思うと、急に素早い動きでそれを私の方へと投げつけてきた。よける間もなく、飛んできた物体が私の体に当たる。足元へと視線を向けると、一冊の本が落ちていた。
 どくん、と心臓が跳ね上がる。震える手で本を持ち上げ、表紙を確かめた。

 村人が土産に買ってきてくれた、あの本だ。偽物が作り上げた忌わしい本だ。

 本から目を離せずにいると、再び何かが飛んでくる気配を感じた。咄嗟に腕を上げて顔を庇う。どこから湧いてくるのか、人影は次々と本を投げつけてくる。身体にぶつかった本が、どんどん足元に積み重なる。その全てが「ディレマトイ著」と記されていた。もちろん、どれも私が作った記憶がない本だ。本はまるで生き物のように私の足に群がり続け、重さで足の自由が利かなくなる。
 そんな私の様子を面白がるように、人影は本を投げ続けた。
 いつまでも、いつまでも。
 私が叫ぼうが何をしようが、まるで聞く耳を持たない。

 やめろ。まだこんな本を作り続ける気なのか。
 お前が作ったのか? お前が私の名を使ったのか?
 何故、そんなことをするんだ。そんなにも、お前はまだ私を憎んでいるのか?
 
 人影が誰なのか。最初に姿を見た時から、私にはわかっていたような気がした。 
 必死に相手の名前を呼び続けるも、人影は声も出さずに本を投げ続ける行為を繰り返す。

 やめろ……。
 頼む、もうやめてくれ。
   
「やめろ!!」
 
 自分の怒鳴り声で目が覚めた。
 見慣れた天井がうっすらと視界に入り、夢だったのだとようやく気付く。

 まだ胸の鼓動が激しく音をたてていた。溺れた時のように荒い呼吸を繰り返す。
 身体のだるさからして、まだ熱は下がっていないようだった。 

 どうやら叫びながら暴れていたようだ。掛け布がほとんど寝台から落ちていた。重い身体をなんとか起こして、布を床から引き上げる。その時、闇の中でうごめく影を視界の端に捕らえた。

「……モル?」
 
 声をかけると影の動きが止まった。そのまま影は、暗闇の中で身動ぎもせずに佇んでいる。
 
 一瞬だけ、既視感に襲われた。
 まさか影の額には……。
 
 しかし、ゆっくりとこちらを振り向いた影の顔に、光る徴は刻まれていなかった。やっと目が慣れてきて、無表情のモルの顔がぼんやりと見えてくる。

「どこへ、行こうとしていた?」

「……」

 もちろん、いつものようにモルは何も答えない。しかし短い付き合いではないのだ。奴が何をしようとしていたのか、わからない私ではない。

「城に連絡を取ることは許さんぞ」

 動かない影に向かって、私は低い声をぶつけた。
 少しでも気を抜くと再び意識を失ってしまいそうだ。身体を支えている腕に力が入らない。それでも、なんとか力を振り絞って声を発する。 

「もっと良い薬を融通してもらおうと思ったのか? 医士を派遣してもらおうと考えたか? お前と言えども、そんな真似をしたら許さないからな」

 そこまでが限界だった。言い終わるや否や、私の身体が寝台に崩れ落ちる。
 すぐにモルが慌てたように近寄ってきた。汗ばんだ手でモルの太い手首を掴み、相手の目を真っ直ぐに見つめて懇願する。

「私のためを思って、ということは理解している。だが、頼む。城に知らせることだけは、止めてくれ。私なら、大丈夫だ」
  
 それ以上、言葉が続かなかった。目を開けることすらできない。モルが私の手をやんわりと離し、掛け布の中へと押し込めた。

 しばらくの間、何も物音が聞こえてこなかった。
 まだモルは側に居るのか。それとも私の制止を振り切って、やはり出て行ってしまったか。
 やがて、隣の寝台の軋む音が耳に届いた。どうやらモルは私の言葉を聞き入れてくれたらしい。
 安堵して息をつき、寝台に吸いこまれるような感覚に抗わずに私は眠りについた。

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