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愛憎<4>

2013.03.26 (Tue)
女レハト、タナッセのその後の話。 一応「背徳」の続きとなります。
どん底に暗い展開になっています。苦手な方はご注意を。
文字反転で言い訳をば→寵愛者の片方が王様になった際、もう片方が継承放棄の儀式をしているというのをすっかり忘れて書いてしまった作品です。つじつまが合わないのですが、広い心で読んでいただければ幸いです……。

愛憎<4>


なんだい、その大量の花。
ああ奥様にかい? こりゃまたずいぶんと豪勢だね。

きっとまた喧嘩したのよ、昨日寝室から怒鳴り声の応酬が聞こえてたし。今朝、書斎を掃除しようと思ったら旦那様が長椅子でいびきをかいて寝てたわ。びっくりするからせめて客間で寝て欲しいって、いっつも言ってるのに。

喧嘩するほど仲が良いってこった。言いたいことを我慢して険悪な空気になるよりゃよっぽどいいよ。
大抵、次の日にはこうやってこっちが恥ずかしくなるくらい仲睦まじくされてるじゃないか。

そうなんだけど……でも、なんだかここのご夫婦、私が思い描いていた貴族様っていうものとだいぶかけ離れている気がするわ……。
もっとこう、威張り散らしたり、気取った感じを想像していたから……。

奥様が自ら料理を振るうっていうのは、確かによそじゃあんまり聞かないね。
できあがった代物があんまり個性的なもんだから、辛抱できずに旦那様も炊事場に入り浸るっていうのはどうかと思うけど。

前に奥様が城に呼ばれて、一晩ここを空けた時の事覚えてる? 旦那様ったら心配で心配で眠れなかったらしくて、寝台の横に積み上げられた本の量がそりゃあ凄かったのよ。お帰りになられて両手広げて迎えるかと思いきや、もう帰ってきたのか、もっとゆっくりしてきてもよかったのだぞ、ですって。無理しちゃって。

心配と言えば。この間、旦那様がお客様をもてなしている時に、扉に耳を当てて立ち聞きしてる奥様と出くわしたよ。よく聞こえないからあたしにも手伝えって言うんだよ。確かに大層お綺麗なお客様だったから心配なのはわかるけど、あんな堂々と立ち聞きする貴族様なんてあたしゃ初めて見たね。

ああ、露台伝いにこっそりと忍びこもうとしたのはそういう訳だったのね。向こうに飛び移るから手を貸せって、私も声を掛けられたわ。

まあ嫌みを言われたり威張り散らされたりするよりは、よっぽど仕事がしやすいってもんだ。ここのご夫婦が貴族っぽくなくても、別にあたしらが困るわけでもなし。

そういえばさっき鹿車の手配をしてたけど、またお二人でどこかにお出かけ?

明日ご夫婦で城まで出向くらしいよ。王様とお会いになるんだってさ。


  ◇  ◇  ◇


「ほんと、ちっとも顔見せてくんないんだもんなあ。前に会ったのいつだったか覚えてる? 伯母さんが亡くなった時だよ? 二人の仲が良いのは結構だけど、もう少し俺のことを思い出してくれても罰は当たらないと思うんだよね」

 久しぶりに会う従弟はパンを手に振り回しながら、そんな皮肉を次々と並べ立ててきた。

「ごめんね、ヴァイル。なんだかいろいろ忙しくて」

「レハトはちゃんと鳥文とか寄こしてくれてたじゃん」

「私の手紙に返事を寄こさなかったのはお前のほうだろうが」

「だって、タナッセの手紙難しくて読みづらいんだもん。なに、あれ。忙しい俺への嫌がらせ?」

 お互いに多忙な日々を過ごしていたため、このように三人で顔を合わせての会食は本当に久々だった。
 自分は城を離れてからも何度か城に出向く機会が多かったのだが、なかなかヴァイルの体が空かなかったりお互いの時間が合わなかったりで、顔を合わせずにそのまま帰路につく、ということも珍しくなかった。

「忙しいのは仕方ないかもしれないけど、無理しないでね? 体壊したら元も子もないんだから」

 レハトが心配そうにパンを齧るヴァイルの腕に手を掛けた。食事の席だというのに、この国の王は肘をついて威厳もへったくれもない食べ方を先ほどから続けている。
 何年経ってもこいつの行儀の悪いところは相変わらずだ、とため息が出る。もちろん自分たちの前でだけこういう態度を取るということはわかってはいるのだが。

「そうだよ、こんなに優秀な俺ですら、もうすっげー毎日忙しいんだよ。だから早く徴持った子でもさっさと作って俺に楽させてよ」

 そのふざけた言葉で口にしていた酒を勢いよく噴き出してしまった。レハトは顔を真っ赤にして、ヴァイルの腕を掴んだまま固まっている。

「ちょっ……ヴァイル、そういうことは……」

「な、何を言い出すんだ、お前は!! お前こそいつまでもこそこそと逃げ回ったりせずに、とっとと相手を見つけて子供でもなんでも作ればいいではないか!!」

「タナッセまでちょっと止めてよ、そんなこと大声で……」

「えー……いやー、俺は結婚はいいやー……めんどくさいしー……」

「そ、そもそも、徴を持った子供が産まれるかどうかなぞ……」

「だってー、俺もう忙しいの嫌なのー。こんな生活ずっと続くと思うとほんとうんざりー。レハト、こんなのにさっさと見切りをつけて、城に戻って俺の仕事手伝ってくれてもいいんだよ?」

「まだ人をこき使う気か」

「上に立つものが人を使わないでどうすんのさ。適材適所って言葉知ってる? こんなに優秀で価値のある人材を独り占めしといて、そっちこそ偉そうな口叩かないで欲しいね」

「ヴァイル、買い被りすぎだよ。私はもうそんなに役には立てないと思うよ」

「そんなことないだろ、だってレハ……げほっ……向こうでも……ごほごほっ……」

「……ヴァイル?」

「ちょっと、ごめん」

 急に咳き込んだヴァイルが口を押さえて席を立つ。隣室へ向かう後ろ姿を目で追い、扉が閉ざされてからレハトとお互い無言で顔を合わせた。
 彼女は泣きそうな顔をこちらに向けていたが、またすぐに扉の方へと視線を移す。
 そのまましばらく身動きもせず、二人で沈黙したままヴァイルを待った。彼女は扉から目を離さない。長く続く静寂に耐えきれなくなり、顔の前で手を組んで静かに溜息を吐いた。
 ヴァイルが居るはずの部屋からは耳をそばだてても物音ひとつ聞こえてこない。扉の向こうで何が起こっているのか。よからぬ光景を想像してしまいそうになり、思考を止めようと手を組んだまま親指でこめかみを強く押さえつけた。そのまま時間が過ぎるのを、ただひたすらじっと待つ。
 今、この場に給仕がいなくて良かった。この異様な雰囲気を他の者に悟られるのだけは避けたかった。

「ごめんごめん。なんか喉にひっかかったみたい」

 やがてヴァイルが笑みを浮かべて扉から姿を現わせた。口元に手をあててはいるが、表情は穏やかだ。
 扉に目を向けて強張らせていた彼女の体が緩むのがわかった。自分も組んでいた手を慌ててほどき、何気ない風を装いながら杯に手を伸ばす。

「なに、まだ食べてなかったの? 冷めるよ? 俺に気にせず食べててよかったのに」

「あ、うん。食べるよ、食べる食べる。ねえ、これすごく美味しいけど、何の肉……」

 席に着こうとするヴァイルに、その場を取り繕うような朗らかな声で問いかけた彼女の顔が一瞬凍りついた。同時に、自分も杯を傾けていた手を思わず止める。

「ああ、これ? なんだろなー、最近よく出てくるんだけど。後で聞いておくよ」

 彼女の問いに、笑顔で答えたヴァイルの襟元。ほんのわずかだが、そこには血のようなものが滲んでいた。レハトがヴァイルに気付かれないように目線だけをこちらに向ける。私は黙って、杯を傾けたまま首をわずかに振った。

「気に入ったんなら、調理場に寄ってって少し貰ってけば? あ、レハトが調理するのだけは止めておけよ。せっかくの美味しい食材が無駄になる」

「ど、どういう意味? 私の料理がなんで……タナッセ、また何か変なこと言ったんでしょ」

「私は何も言ってない。前から言っているだろう、そうやってすぐ人に疑いを向けるのは……」

「じゃあ、他の誰がそんな恥ずかしいこと言い振らすって言うの!? この間のはちょっと失敗しちゃっただけじゃない!! だいたい、タナッセがいっつも横から余計な口を出してくるから変な味になるんだよ!!」

「なんだと!?」

「美味しい物が食べたいのなら、まずは口うるさく小言をいう厄介な癖を直してからにしたら!?」

「私は何も高度なことを要求している訳ではない!! ただ普通に口にできる物を食べたいと言っているだけではないか!!」

「ああ、もう。痴話喧嘩はよそでやってくんない? ご飯まずくなっちゃうよ」

 その後も少し過剰なほど大声を出してレハトと言い合いを続けた。
 そうでもしなければ、ヴァイルに気付かれそうな引きつった笑いを浮かべてしまいそうになったから。多少不自然でも、先ほどまでの和やかな雰囲気を取り戻したいと思ったから。きっとレハトも同じ気持ちだったのだと思う。彼女の声は時々、体の底から強引に絞り出すような、悲痛な叫びのようにも自分には聞こえた。
 自分たちの口論を笑いながらヴァイルが茶化す。昔から繰り返されてきたこの光景は、もしかしたらこれからそう何度も見ることは叶わないのかもしれない。
 手を付けられずに冷めて行く料理を横目に、そんな恐ろしい予感が沸いてくるのを私は感じていた。


  ◇  ◇  ◇


 帰路につく鹿車の中で、彼女は虚ろな目をして無言のままだった。
 自分に寄り掛かる彼女の肩を強く抱いていたのだが、レハトの様子は城から、いや食事を摂っていたあの部屋を出てからずっと変わることはなかった。

「そう心配するな。最善を尽くすと医士たちも言っていた」

「……うん……」

 ヴァイルの体調がもうずっと悪いらしい、という報せが城から届いたのは少し前のことだ。
 顔色がいつも悪く咳が止まらない、食事にもあまり手をつけない日が続いているという事だったが、レハトに届くヴァイルからの手紙にはそんな内容は一切書かれていなかったため、急な報せに二人揃って顔が青ざめるほど驚いた。
 ヴァイルも何も悟られないよう気を遣っていたのだろう。あの性格からして、皆に気付かれぬよう相当無理をして日々を過ごしている姿が容易に想像できた。

 その後も回復の兆しを見せない従弟を心配に思い、城の医士からも一度詳しく話を聞きたいと考えて城に出向こうと思い立ったある日。それを見透かしたかのようにヴァイルから会食の誘いが届いた。それでこうして二人で城に足を運んだのだが、予想以上に体調が悪そうなヴァイルを目の当たりにする結果となってしまった。

 皿にほとんど残った料理。好きだったはずの酒が注がれていない杯。白い顔色。充血した目。そして咳き込んだ後についていた襟元の血の跡。
 部屋に留まるヴァイルに笑顔で別れの挨拶を交わし、扉を閉めた瞬間に彼女はその場に崩れ落ちた。ずっと気を張っていて緊張の糸が緩んでしまったのだろう。真っ青な顔の彼女を医務室へと運び、別室で診てもらっている間に医士からヴァイルの容体について詳しい説明を受けた。

 ヴァイルの御典医の一人であるその老齢の医士は、こうまで容体が悪化しながらも原因が皆目掴めないと顔を曇らせて話を切り出してきた。最近は、ヴァイル本人に直に接する者を限定させ、その数人だけが病状を把握しているという状態に留めているらしい。
 ヴァイルを縛り付けてでも政務を減らすべきでは、いっそのこと、皆に病状を公開して回復するまで無理にでも休ませるべきでは、と提案したのだが、それは本人が最も避けていることであり、その意思を尊重したいというのが医士達の意見だった。なによりも、城に混乱を招くことは陛下の望むところではないと。
 ならば自分が本人に直談判してくると言うと、それだけは許可できない、陛下はお二人に知られることを特に恐れている、と言い返してきた。

 そして、その医士は少し辺りを伺ってから小さな声で話を続けた。

「こう申しては何ですが。今、貴方やレハト様が陛下に近づくのは、極力避けたほうが宜しいかと……」

「どういうことだ」

「今のところ、そのような症状は見受けられませんのであり得ないとは思いますが。万が一、万が一にでも、伝染するような病でしたら大変なことになります。考えにくいことではございますが、なんと申しましょうか……お徴を持つ者だけが発症する病、ということも」

「徴持ちだけに伝染ると? そんな話は聞いたことがない」

「過去にそう言った事例がないのでなんとも言えませんが、なにしろ原因が特定できませんので可能性は捨てきれません。とにかく今、我々はなんとしてもレハト様まで失うわけにはいかないのです」

「……」

「ここまで言えばおわかりでしょう。もし陛下に何かあったら、代わりを務められるのはお一人しかいない」

 何かあったら。何があると言うのだ。
 医士の言葉から連想される恐ろしい事象が頭に浮かぶ。顔から血の気が引いて行くのがわかった。
 意思とは無関係に震えてくる体を押さえつけるように、握り締めていた拳に思わず力が入る。

「……まるで、ヴァイルがもう助からないような言い方をするのだな」

「そういう訳ではございません。しかしあらゆる可能性は疑ってみるべきで、最悪の事態にも対処できるよう考えておくに越したことはないと申しているのです」

「ならば、私だけ接触するのは構わないだろう。レハトを遠ざけておけばよいだけの話だ」

 伝染病かもしれないなどという話を信じたわけではなかったが、なんとかしてこの状況を打破する方法を見つけたいがために私は尚も食い下がった。
 しかし医士はあっさりとその提案を却下する。

「それも賛同しかねます。何かあった時に、貴方に疑いがかかる恐れを避けるためにも」

「疑い、だと……? 私がヴァイルに何かするとでも?」

「配偶者を玉座につかせたいがため何か企んでいたのではないか。そんな愚かな言葉を口にする輩が腐るほど居るということぐらい、貴方もここに長年身を置いていたのですから想像がつくでしょう?」

「ではこのまま手をこまねいて、ただ見ていろと言うのか!?」

 何も手出しができないもどかしさから、つい医士に食ってかかってしまった。
 隣に聞こえます、と医士が慌てて指を立てて口元に宛がう。
 そうだ、隣室にはレハトが居るのだ。医士の仕草を見て我に返り、数多くの言いたい言葉を呑みこんで仕方なく再び椅子に腰を下ろした。

「もちろん我々も最善を尽くす所存でおります。陛下のことは我々にお任せください。ですから貴方はレハト様の……継承者様のお体を護ることだけをお考えを。……離れた土地に置いておくよりも、城でレハト様をお護りするべきだという声も上がりましたが」

「……お護り、とは笑わせる。要は監禁しておいたほうが見張りやすいとでも言いたいのだろう」

「そうです、あらぬ疑いを掛けられやすい立場におられるのは、レハト様も貴方と同様です。しかし罪を犯したわけでもない、しかも寵愛者たるお方を目立たないよう幽閉するなど到底不可能ですし。かと言って、領主の奥方が長期間城に滞在し続けるというのはあまりに不自然で、それこそ陛下の体調を悟られてしまいかねない。余計なことに巻き込まれないよう、お二人とも、領地で大人しく普段どおりお過ごしになられたほうが身のためかと存じます」

 これ以上、見舞いにも顔を出すなと。そういうことか。
 本当にここはいつまで経っても変わらない。血の繋がった従弟を見舞うという当たり前のことですら、関係のない他人にこうして阻まれる。訳のわからない都合に振り回され、そしてそれを無理やり打ち破ろうものなら、いとも簡単に陰謀だ企みだと責め立てられてしまうのだ。

「城にお二人をお呼びするのは皆が反対の意を唱えたのですが、陛下がどうしてもお二人にお会いしておきたいと申されまして。謁見ではなく、会食という形で陛下が強引に話を進められたついでに、こうして貴方とお話する機会を設けさせていただきました」

 ヴァイルからの手紙と違い、病状が記されていた医士からの手紙は城から直接人の手を使って届けられた。その時から嫌な予感はしていたのだが、まさかここまでの事態とは想像すらしていなかった。
 そもそも、会っておきたい、とはどういうことだ。それではまるで、まるで……。

「陛下の病状が安定するまで、そちらのお屋敷に衛士を派遣したほうが良いのではという話まで出ています」

「冗談ではない。物々しい警護なんぞつけたら、ますます余計な憶測を生みかねない」

「その通りです。ですからやはり貴方にお願いするしかない。宜しいですか、この国の将来がかかっているということをお忘れなきよう。レハト様ご自身にご理解いただくかどうかは、貴方のご判断にお任せします。どうかくれぐれも継承者様の御身を大切に」

 そう言って、医士は話を締め括った。
 会話の内容を思い出し、自分にもたれ掛かる彼女の額に思わず目が行く。

 継承者。まさか、またそんな言葉を聞かされる日がやってくるとは。

 やっと徴の呪縛から逃れられたと思っていた。
 もちろん彼女の手前そんな言葉を口にすることはないが、城から離れ、彼女と穏やかで平和な日々を過ごしているうちに、ようやくそんな風に思えるまでなったというのに。
 自分や彼女は、よほどアネキウスに嫌われたのか、もしくは愛されてしまったのか。寵愛者たる者がただの領主の奥方であり続ける安寧の日々は、現王を自らの元へ早々と呼び寄せてしまうほど神の逆鱗に触れることだったのだろうか。
 いや、違う。そんなはずはない。
 そもそもまだヴァイルが回復しないと決まったわけではないのだ。こんな馬鹿なことを考えつくなんてどうかしている。まだ冷静になりきれていない証拠だ。

 青い顔をしてヴァイルを気遣う彼女に、万一の事態を考えてお前も自分の身を大切にしろ、などとそんな残酷な言葉を言えるはずもない。それにわざわざ自分が口にしなくとも、きっと彼女の頭には、既に多少なりとも考えが浮かんでしまっているに違いないのだ。
 もしかすると、このまま自分が次に玉座に座ることになるかもしれない、と。
 虚ろな目をしたままの彼女は何も語らない。今この時、彼女が何を思っているのか、その顔からは伺い知れなかった。

 医士からの、御身を大切に、という言葉を思い出す。
 こんな事態でなくとも自分がレハトの身を護るというのは当たり前のことだ。そう、今までと何ら変わりなく過ごせばいいだけなのだ。
 危なっかしい手つきで料理を始める彼女を止め、眺めがいいからと高い木に登る彼女を叱咤する。
 そうだ。何も変わらない。
 今までと同じように、ヴァイルの回復を願いながら自分たちは日常を過ごすだけだ。

 そう思ってはいても、レハトの肩を抱く手に思わず力が入ってしまうのを止められなかった。

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