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愛憎<6>

2013.03.30 (Sat)
女レハト、タナッセのその後の話。 一応「背徳」の続きとなります。 完結しました。
文字反転で言い訳をば→寵愛者の片方が王様になった際、もう片方が継承放棄の儀式をしているというのをすっかり忘れて書いてしまった作品です。つじつまが合わないのですが、広い心で読んでいただければ幸いです……。

愛憎<6>


 激しく扉を叩く音に驚いて体を起こす。なかなか眠れない、と頭まで布を被って長椅子で横になっていたのだが、いつのまにか寝入ってしまっていたようだ。
 いったい何事だ、とぼんやりとしている頭を抱えながら書斎から出てみると、まだ早朝だと言うのに皆が大騒ぎしていた。レハトの姿がどこを探しても見当たらない、と使用人が青い顔をして告げてくる。彼女を起こそうと寝室に向かうと既に姿がなかったらしい。
 寝台の上に一言だけ記された紙が置いてあったと一枚の紙きれを渡される。

「少しだけ時間をください」

 とりあえず自分の意思でここを出て行ったという事に安堵した。何処も荒らされてはいないが、もしかして暴漢が侵入したのではないかとも思ったからだ。
 だが、情けない事に彼女が何処へ行ったのか全く見当もつかない。探そうにも何処を探せばいいのか。
 紙を握りしめて途方に暮れていると、来客を知らせる鈴が邸内に響いた。

 使用人に連れられて姿を現した来客は、思いもよらないところからの使いの者だった。持参した一通の手紙をおずおずと自分に差し出してくる。
 渡された手紙を読み終え、思わず大きく息をつく。すぐに使用人を呼び付けた。

「……鹿車の用意を。あいつを迎えに行く」

「奥様が見つかったのですか!?」

「城からの使いがもうすぐ来るかもしれないが、適当に誤魔化して追い返しておけ」

「承知しましたが……奥様はいったいどちらに……?」

「……ヨアマキスの別邸だ」

 いったい何のあてつけだ。よりによって……。
 ヴァイルの葬儀に参列した自分の父親が、まだ王都に留まっているのを彼女は思い出したのだろう。考えてみれば、彼女が身を寄せる場所なぞそこぐらいしかないと今更ながらに気付く。そんなことも思いつかなかったくらい自分は相当動揺してしまっていたようだ。

「なるべく早く戻る。……モルはどこへ行った?」

 いつものように付き添わせようと思い、モルの姿を探す。
 この騒ぎの中どこをほっつき歩いているのか、今朝はまだ一度もあの巨体を見かけていなかった。寝坊などする奴ではないのだが……。
 自分の問いに使用人が言いにくそうに口ごもる。その様子を見て、すぐに察しがついた。

「……連れて行ったという訳か」

 力ずくでレハトを止めもせず、自分を叩き起こしもしなかったモルに腹が立った。
 おそらく止める間もなく強引に館を飛び出す彼女を追いかけ、そのままやむなくずるずると付いて行ってしまったのだろう。モルの説得などに耳を貸すような彼女ではないし、モルも昔から彼女には強引に手を出せないでいたのを自分はよく知っていた。以前に言われた成人した女性に云々、という言葉が奴の中で尾を引いているらしい。

 溜息をついて、用意された鹿車に一人で乗り込む。
 これからあの父親と顔を合わせねばならないのか、と思うと、ますます気が滅入ってきた。


  ◇  ◇  ◇


「何かあったらいつでもおいで、とは確かに言ったのだけど。まさかこんなに早く、再び顔を合わせることになるとは僕も思わなかったなあ」

 先日の葬儀で言葉も交わさず、姿だけをちらりと見かけただけの父は、相変わらず悠然とした態度で苦笑しながらそう言った。

「……いつの間にそんなことを」

「葬儀の合間に少し、ね。今まで碌に挨拶もせずに失礼していたと、彼女から話しかけてきたんだよ。息子の伴侶たる者に、それくらいの挨拶も許されないのかい?」

「無駄な話は結構です。すぐに彼女をここに連れて来て下さい」

 客間に案内はされたが席に着く気などさらさらなく、自分は立ったままで会話を続けていた。父は椅子に座ってのんびりと茶の用意なぞしている。その様子を見てますます苛立ちが募った。

「茶は要らないと言ったでしょう? 貴方がその気なら、勝手に屋敷内を探してでも……」

「まあまあ、そう言わずに。先日取り寄せた珍しいものなんだよ。一人で飲むのも味気ないと思ってね。来てくれて丁度よかった」

「ですから……!!」

「君も彼女も、少し頭に血が上りすぎている。今連れて帰ったところで同じことの繰り返しだと僕は思うが」

「……ここに居るよりはましです」

「とにかくまずは座ったらどうだい。落ち着いて話もできない」

「話すことなんて……」

「いいから。座りなさい」

 父の顔から笑みが消え、強い口調でそう促される。気圧された訳では決してないが、すんなりと彼女を連れてくる気はないと悟り、仕方なく乱暴に腰を下ろした。
 手慣れた様子で茶の用意を続ける父は、すぐに微笑を取り戻して穏やかな声で話を続ける。

「そんなに心配しなくても、あの屈強な護衛が彼女から一時たりとも離れようとしないよ。よっぽど責任を感じているんだろう」

 そう言いながら、なみなみと茶が満たされたカップをこちらに寄こしてきた。優雅な香りが漂ってくるが、手を出さずに正面の父を睨みつける。

「呑気に茶をすすっている暇はないんです」

「……彼女は君に合わせる顔が無い、と言っていたよ。詳しくはまだ何も聞いていないが、そう焦らずに、もう少し様子を見るくらいしてやったらどうだい」

「私と彼女がどうこうと言う問題ではなくて……!! 一刻も早く城に連れて行かねばならないことぐらい貴方にだってわかるでしょう!?」

「少しぐらい王が不在でもなんとでもなるよ。彼女が……リリアノが長年かけて、さらにあの優秀な元甥っ子がそれを固めてこの国を作り上げてきたんだ。そう簡単に揺らいだりなんかするもんか」

 まるで、自分よりヴァイルや母のことを理解しているかのような口ぶりに、思わず卓をひっくり返してしまいたくなった。
 貴様に何がわかると言うのだ。ずっと一人だけ高みの見物よろしく、はるか遠い安全な場所でのうのうと暮らしていたくせに。

「よくもそんな、無責任なことを……」

「彼女に落ち着いて考える時間を与えてやれ、と言っているだけだよ」

「そんなもの、ここでなくとも私の館でいくらでもできる!!」

「……昔、君たちがまだ城に居た頃に聞いていた印象とは違う、と彼女を見て思ったんだけど。もしかすると、君がいつもそんな風に彼女に構いすぎて甘やかしていたから、ああやって駄々をこねる性格に拍車がかかったんじゃないのかい」

「……っ!!」

 思わぬ指摘に言葉が詰まる。
 ……少しは自分でも感じていた。城に居た頃の彼女とは雰囲気が変わってきていると。
 天真爛漫なのは昔からだが、確かに自分は彼女を護ろうとするあまり、なるべく先回りして障害を取り除くような行為を続けていた。領地での仕事にも関わらせず、性格に問題のありそうな客人との接触を避けさせ、少しでも彼女が過ごしやすいように、と心を砕いてきた。

 そうだ。自分が知っている彼女ならば、ヴァイルの容体がおかしいと知るや否や、真っ先に一人ででも城に駆け付けそうなものではないか。少しでも負担が軽くなるのならば、と政務を手伝うと言い出してもよさそうなものだ。

 しかし、彼女は館から出なかった。
 自分が声をかけるまで、彼女は城に出向こうとはしなかった。

「まだ若いのにさすが寵愛者なだけあって、口うるさい連中をなぎ払う勢いで手腕を発揮している、と聞いていたのだが。今の彼女は、どこにでも居そうな弱々しい普通の女性に見えたよ。それとも僕の気のせいだったのかな」

「……」

「館を出たのは、君に依存しすぎた彼女がそれを少しでも立ち切ろうと、自分なりに考えて出した結果だと僕は思うけどね。君に甘えたままではいけないと。こればかりは一人で考えて、覚悟を決めなければならない問題だと思ったんじゃないかな。そんな気持ちを少しでも汲んでやったらどうだい。……急なことで彼女も怖いんだろう。無理もない話だ」

 言い終えてから、父がカップをゆっくりと口に運ぶ。
 父の言葉の中に納得せざるを得ない部分もあった。だが、素直にそれを受け入れる気にはとてもなれない。
 いつもこうだ。
 こうやって、この人は何もかも見透かしているような癪に障ることを、さらりと言いのけるのだ。
 冷静ではないと自覚しながらも、反論する口は止められなかった。

「……そんな我儘が許される訳がない。怖さのあまり王が逃げ出すなど聞いたことがない」

「王はこうであらねばならない、なんていう考えはそんなに大事なものなのかな。君や周りの者が、勝手に押し付けているだけなようにも見えるけど。……まあ、リリアノやヴァイルのように、産まれた時から王になるべく鍛え上げられた者たちを身近に感じすぎたから、仕方がないのかもしれないが。その君の固定観念が、ますます彼女を追い詰めていることにまずは気が付くべきだ」

「何を偉そうに……!!」

「そうやって理想の完璧な王という偶像を背負わせて、彼女を誰も届かないくらいの孤高の人にしてしまう気かい? 一番心安い存在であるはずの君がそんな考えでいたら、がんじがらめになっていつか彼女の精神が崩壊してしまう。徴があるからと言って、いきなり王に相応しくなどなれるはずもないだろうに。彼女の反応は至極最もだよ」

「……」

「次は自分だ、と彼女が恐れているのも、あながち間違いじゃない。……少し前から、医士が一人行方を眩ませていると聞いている」

 意味がよくわからなかった。医士の行方知れずと彼女のことがどう繋がると言うのか。訝んでいると、父は持っていたカップを置いて驚くべきことを淡々と述べた。

「御典医だったうちの一人だそうだ。先王の死と、何か関係していたのかもしれない」

「……まさか、毒を……?」

「あくまで噂だけどね。症状の原因がわからなかったのはそのせいでは、という話だ。責任逃れなのか身内をかばっているのか、医士連中があまり公にしてくれないみたいで、憶測でしかないけれど」

 彼女の言うとおりだった、と血の気が引く思いがした。
 次は、私だ。
 あの言葉が急に現実味を帯びてくる。

「あそこは相変わらず不穏に包まれて、油断は許されない場所ということだ。最も、こんな風に偉そうに説くほど僕は長く暮らしてなかったわけだし、君のほうがよっぽどよくわかっているのだろうね」

「その通りだ。だから貴方にとやかく言われようが、こちらも耳を貸す気はない」

「とにかく、手紙にも書いたように、僕が領地に戻る近日中には彼女をそちらへ送り届けるから。ひとまず今日のところは帰りなさい。城のほうの対処は任せたよ」

「……」

「僕のように、離れてしまってから取り返しのつかなくなることだってある。同じ過ちは犯さないようにと言いたいところだけど。普段から僕とは違う、と豪語している君には余計なお世話だったかな」

「言われなくとも、もとよりそのつもりだ……!!」

 これ以上顔を合わせていることに限界を感じ、彼女もそう簡単に帰る様子がないと判断して、椅子を蹴りあげてその場を後にした。
 ヴァイルの毒殺。
 彼女を甘やかしていた自分の振る舞い。
 相変わらずつかみどころがなく、ひょうひょうとしている父親。
 いろいろなことが頭を駆け巡り、考えがまとまらない。父の言葉を認めたくはないが、頭に血が上っているのだけは確かだ。
 館へ帰る鹿車の中で城への言い訳を考えながらも、一向に何も思いつかずにますます顔が険しくなっていくのを感じた。


  ◇  ◇  ◇


 レハトが出て行った日こそ城から使いの者が来たものの、翌日からはその訪問がぱたりと途絶えた。どうやら彼女が直接、城に手紙を送りつけたらしい。
 どんな内容が綴られていたのかはわからない。しかし城の連中を黙らせるには十分な効果があったようだ。

 城への言い訳が思いつかずに苦慮していたので、肩透かしを食らった気分だ。それと同時に、やはり自分は彼女を見くびってしまっていたのだと気付く。
 そうだ。
 自分が全てを請け負わなくとも、レハトは一人で物事を決断し、問題を処理することができる人物だったはずなのだ。
 そして自分は彼女のそんなところに惹かれ、尊敬の念すら抱いていた。自分が側に居てやらなければ、自分が盾になってやらなければと思い込み、知らず知らずに彼女を臆病者にさせていたのは自分だった。

 やがて、数日経ってからレハトが館へ帰ってきた。
 使用人が「奥様が到着されました」と、嬉しそうな声で告げてくる。書斎の長椅子に座ったままで、彼女の訪れを待った。

 静かに扉が開けられ、レハトが部屋に入ってくる気配がした。自分は扉に背を向けているため、彼女がどんな顔をしているのかはわからない。
 手にしていた本を閉じ、こちらから声をかけるべきか、彼女の声を待つべきか、しばし迷った。

「……ただいま」

 消え入りそうな小さな声が聞こえてくる。それでもまだ、振り向く勇気までは持てなかった。

「……思ったよりも早かったのだな。もっと」

「もっとゆっくりしてきてもよかったのだぞって? タナッセって、私がここを空けたらいつも同じこと言うね」

 少しだけ弾んだ声で、彼女がすぐに言葉を返してきた。思ったよりも元気そうな様子に安堵する。
 しかし、それからしばらく沈黙が続いた。どう接したらよいものか、彼女が戸惑っている雰囲気が背中からひしひしと伝わってくる。きっと向こうも自分の背中を見て同じように感じているに違いない。

「……怒ってる?」

「……いや……」

 自分の態度がそんな風に取られてしまっていたのか、と反省した。
 いつまでもこうしているわけにはいかない。きちんと向かい合わねば、逃げている場合ではないのだ、と思って立ち上がろうとしたが、その前に彼女の方から自分に抱きついてきた。
 肩に顔を埋めて、彼女が囁く。

「……本当に、ごめんなさい」

 目を閉じて温もりを肌で感じ、背後から回された彼女の腕に手をかけた。

「……逃げるのは許さないと言ったのはお前ではなかったか」

「ごめんなさい。もう絶対しない」

「お前がそのつもりなら、私も離れる気はないぞ。本当にそれでいいのか」

「……一緒に城に行ってくれるの? あんなにひどいこと言ったのに?」

「当たり前だろう」

 自分の言葉で彼女の体が緩むのがわかった。腕をほどいて、自分の隣に腰かけてくる。
 やっと正面から見ることができた彼女の顔には、ぎこちなさを残しながらも笑みが浮かんでいた。その彼女の両肩を掴み、目を逸らさずにまっすぐ見つめて言葉を発する。

「いいか、忘れるな。陰謀や企みは、常に身近にあると私を見る度に思い出せ。それをお前の胸に刻み続けるためにも、私は決して側を離れたりはしない」

「……タナッセ」

「お前はお前のやりたいように舵を取ればいい。私は、それを全力で支える。母上やヴァイルと同じように、なんて考えるな」

「……うん」

「……こんな頼りない奴が何を偉そうにと思うだろうが……」

「そんなことない!!」

 すぐに否定を口にして、また彼女が勢いよく抱きついてきた。そんな彼女の態度に思わず苦笑してしまう。
 いったい、彼女はこんな男のどこに惹かれたというのだろう。何故、こう何度も不器用で不甲斐ない自分を目の当たりにしながらも、愛想を尽かせて離れようとしないのか。まったく理解に苦しむところだ。
 
 そんなことを考えながら、彼女の背中に手を回して大きく息をついた。どうやら自分は、意識せずにかなり気を張ってしまっていたらしい。
 いつもの香りだ、と彼女の香油に気付く。その香りに刺激され、つい気が緩んで言うつもりもなかった心情を吐露してしまった。

「……もう、戻らないのかとも思った。ここに戻らずに、直接城に出向くのかと……思っていた」

「そんなことしないよ。……だって、旦那様がまだここに居るでしょう?」

「……そうか」

 抱き締める腕に力を込める。こんな自分をまだ伴侶と思ってくれている彼女に感謝すると共に、なんとしてでも彼女を護り抜こうと、改めて決意した。

 過去に犯した過ちは消すことはできない。今までも理解していたつもりでいたが、二人ともそれを口に出すのが憚れるような不自然な関係を続けてしまっていた。これから生涯を共にするというのに、わだかまりを持ったままでうまく行くはずがなかったのだ。
 ひどいことを、と彼女は言った。しかし自分はそうとは思わない。言われても当然の愚行を自分はしでかしたのであり、激昂して思わず飛び出してしまった言葉だとしても、むしろ本音をぶつけてくれたことに有り難いとさえ今は思える。

 そんな思いを巡らせていると、彼女が急に甘えたような声を出してきた。

「……あの、ね。一つだけお願いがあるんだけど」

「なんだ」

「領地を返上しないつもりなら、ここ、残しておいてくれる?」

「ここ……とは、この館か?」

 突然何を言い出すのか、と思わず体を引き離して彼女の顔を見つめた。
 上目づかいで微笑みながら彼女は話す。

「うん。だって……何かあった時に戻る場所がないと困る」

「何かとは……なんだ」

 まさか、また城で夫婦喧嘩でもした時に、逃げ出せる避難場所を確保しておく気なのか。
 咄嗟に不吉な予感が頭に浮かび、思わず顔をしかめてしまった。

「私みたいに、成人間近の寵愛者が突然城に来ちゃうかもしれないよ。そしたら、私たちの住む所がなくなっちゃう」

「……」

 彼女の突飛な発言に呆気に取られ、やっと意味を理解して思わず噴き出した。そのまま堪え切れずに笑いが止まらなくなる。

「……またそうやって馬鹿にして。だって何が起こるかわからないじゃない」

「いや……ふ、ははっ……そうだな、確かにそうだ。何が起こるかはわからないな」

「そうだよ、一人どころか二人も三人もうじゃうじゃと……。ねえ、もう笑うのやめてよ」

 昔のように、彼女が頬を膨らませて睨んでくる。そのうちに彼女も釣られて笑い出した。

 しばらくしてから扉を叩く音が響き、使用人が来客の訪問を告げてくる。彼女が手配していた城からの鹿車と使者らが到着したらしい。
 二人で顔を見合わせる。彼女は一瞬だけ不安そうな様子を見せたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。
 椅子から腰を上げ、座っている彼女に手を差し伸べて恭しく言葉を放つ。

「陛下。わたくしも車に同乗し、共に登城したいと存じますが宜しいでしょうか」

 先ほどとは違う、威厳を込めた余裕ある優雅な笑みで彼女は私の手を取った。
 ゆっくりと彼女が椅子から立ち上がる。私はその足元に跪く。
 そして握った彼女の手の甲に口を付けた。

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